
2022.05.06
スーツ不毛の時代と言われながらも、ファッションを愛する人はスーツに回帰しているともいわれています。ただし、これまでのブリティッシュともイタリアンとも異なる、新しいスーツの着方を、それぞれがルーツを創造し、自由な感性で着こなしているのです。そんな自由なスーツのスタイリングを、ほんの一例としてご覧頂きたいと思います。
・デ・ペトリロ / トロピカルウール 2パッチポケット 3B スーツ
・アヴィーノ・ラボラトリオ・ナポレターノ / ツイル ワイドカラー シャツ
・タイユアタイ / マイクロパターン ジャカード タイ
・エンツォ ボナフェ / ゴールドビット ローファー(グレインレザー)
・ブラン / チタンテンプル サングラス(クリアグリーン)
スーツは男をもっとも美しく見せる服といわれます。その根拠はともかく、男性に限った「らしさ」を強調する服に限定する必要はありません。それは、いまのスーツが薄軽仕立てになった頃から、既にわかっていたことで、ジャケット単品で着たり、タイドアップする代わりにTシャツやタートルニットで着ることが一般化したために加速度を増して変化しています。スーツにもっと多様性を。時代が求めるスーチングは、つねに進化を遂げているのです。
たとえば黒いスーツはこれまでモードなイメージで語られてきました。しかしいまデザイナーズモードに限ることなく、クラシックなメゾンも黒を発信しています。ここで合わせたシャツはグレー、セッテピエゲのネクタイを結んで、足元はゴールドビットのローファーという、ブリティッシュトラッドともイタリアンクラシコとも、白シャツにナロウタイのロックなスーツとも違うコーデイネートです。インナーの淡いトーンの取り合わせがスーツの黒を和らげ、まさにジェンダーレスなスーツ姿を描き出しました。
・デ・ペトリロ / トロピカルウール 3B スーツ
・アヴィーノ・ラボラトリオ・ナポレターノ / ブロード レギュラーカラー シャツ
・フランコバッシ / サテン ソリッド タイ
・ジャコメッティ / モンクストラップ モカスリッポン
・ブラン / グローバルライン チタンフレーム サングラス
ライトグレーのスーツにはベージュのシャツを。ネクタイにはブラウングレーの光沢あるサテンのソリッドタイをあわせました。足元はスエードのストラップシューズ。ともすれば、地味に陥りがちなスーツをトーンを抑えた色を選びながら、素材のコントラストでほんのり色気を醸し、これまで以上にグレーのノーブルさが際立つスタイルに仕上がっています。
ファッションとしてのスーツはいま、「男を美しく見せる」から「着る人を美しく魅せる」へ新たなフェイズを迎えています。着るシーンのみならず、着る人の性別も年齢も、社会的な立場すら問わない服です。だからこそ、もっと自由にスーツを楽しみたい。ノールールだからこそ、マイルールが必要なことはいうまでもありません。自由とともに自律するスーツスタイルは、これからの時代を象徴しているのです。
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 渡辺修身 (SAMMY STUDIO) / Hair&Make : SHOTARO (Sense Of Humour) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Artur (Wizard)