
2020.10.05
奇を衒ったデザインよりも、シンプル&ベーシックな服が好きな方ほど、素材と仕立てにこだわるものです。いつも選ぶのはイタリアのサルトリアの手仕事、そして上質な素材と旬を映し出す色柄でしょう。そこで見るべきはGaboのコレクション。ラグジュアリーカジュアルのスタイルが浸透してきた今でこそ、Gaboは見逃せません。
・ガボ / チョークストライプ フランネル 3B スーツ
・セッテフィーリカシミア / BR別注 ハイゲージ タートルネック ニット (カシミア&シルク)
・フラテッリジャコメッティ / カーフタッセルスリッポン
ナポリのサルトが絶大な信頼を置く職人たちの聖地カサルヌオーヴォに、自らのブランドを掲げたGabo。祖父の代から仕立て職人として育ったジャンフランコとジュゼッペの、いとこ同士が作り出す服は、南イタリアならではのやわらかな着心地と、上質なラグジュアリーを感じさせるフォルムが特徴なのですが、業界内では「斬新な素材選び」こそGaboの魅力と言われています。
たとえば上のストライプのフランネルスーツをご覧ください。普通ならオーダー生地のバンチにコレクションされるようなネイビーにエンジのチョークストライプは、ワイドなピッチが大胆な色柄使いだと思われますよね。しかしながらトーンを押さえた縞色は、スーツ一着で勝負ができるほど圧倒的な存在感を放っています。これぞGaboの持ち味であり、Gaboを着る意味といえるでしょう。
着方としてはタイとシャツの色柄合わせにアタマを悩ませるまでもなく、無地のタートルニットを合わせるだけ。足元も黒靴なら、十分スーツが引き立ちます。スーツ=タイドアップの公式から脱却した現代だからこそ、こんな主張あるスーツを選ぶべきではないでしょうか。
・ガボ / バスケット織り 6B ジャケット
・フェデリ / クルーネック ニット (CASHMERE)
・イカイ / ストレッチ デニム パンツ
・フラテッリジャコメッティ / スエード モンクストラップ モカスリッポン
「シンプルなネイビーのジャケットは何枚あってもいいもの」なんて言いますが、さすがにウールサージのネイビージャケットを選ぶなら、ちょいひねりの効いたアイテムを選びたいものです。ではGaboではどんなひねり方を見せているか見てみると、こんなダブルのネイビージャケットが届いていました。
打ち合わせが狭く、着丈も短く設定されたダブルのジャケットはカジュアルに着こなすには最適。コンパクトなフォルムながら、雄々しく広がるワイドピークのラペルに男らしさを漂わせ、パッチポケットのスポーティなデザインはデニムにも似合う軽快ダブルといったところ。素材は凹凸の深いバスケット織りで、しかも2色の糸をミックスすることで単色ネイビーより深みある色合いを醸しています。
明るいトーンはカジュアル使いがしやすいところ。デニムにインディゴブルーとも馴染みやすいうえ、インナーに鮮烈な赤いニットを差し色使いにしても、しっかり受け止めてくれます。これならビジネスネイビーとはひと味違う、スポーティなネイビーを愉しめそうですよね。
・ガボ / キャメル 3B コート (Loro Piana Fabric)
・フェデリ / クルーネック ニット (natural cashmere)
・フェデリ / ショートスリーブ クルーネック Tシャツ
・ピーティートリノデニム / ストレッチ ブルー デニム パンツ (SWING)
・フラテッリジャコメッティ / カーフスコッチグレインローファー
コートをジャケット代わりに羽織るなら、へんにデザインを効かせたものよりも、テーラード型のチェスターコートが使い勝手が良いのはいうまでもありません。シャツはもちろんニットの上からさらりと羽織るだけで、まるで「そのへんにあったアウターを引っ掛けてきただけ」な無造作感を引き出せますし、それでいてしっかり上品な印象も漂わせてくれます。
こんな着方をするコートだからこそ、大人の上質素材にこだわりたいところ。Gaboのチェスターに使われているのは、ロロピアーナの「バクトリアン」といって、最上級キャメルの産地内モンゴルで採れたベイビーキャメル100%生地なので、軽さと温かさはもちろん、見た目もラグジュアリーなのでデニムに合わせても、けっしてラフには見えないのです。
カシミヤに匹敵する極上の光沢感とやわらかさをもつこの素材、ロロピアーナは「カシミヤよりリーズナブル」と公言していますが、ロロのカシミヤは世界最高峰ですので、たしかにそれと比べたらリーズナブルでしょう。しかし一般的なカシミヤと比べたら、こちらのベイビーキャメルは一瞬わからないぐらい極上のタッチ。デニムからビジネススーツ、そしてフォーマルにまで着回せます。
・ガボ / キャメル 3B コート (Loro Piana Fabric)
・ガボ / ナチュラルストレッチ サキソニー 3B スーツ
・フェデリ / タートルネック ニット (CASHMERE)
・フラテッリジャコメッティ / スエード モンクストラップ モカスリッポン
もう一着「バクトリアン」ベイビーキャメルのチェスターコートをご紹介しておきましょう。こちらはキャメルカラーのベーシックなタイプですが、この発色こそが上質なキャメルの特徴です。ライトグレーのスーツと合わせれば、こんなにエレガントなスタイリングが完成します。
キャメルは原毛が黄味付いているので、後から色を染めると発色がくすんでしまいます。そのため脱色してから染めるなど技術を要するのですが、ロロピアーナの「バクトリアン」は原毛そのものが美しいキャメルカラーをしているので、元色を活かした染色が施された上品な発色に仕上るのです。
世界中のラグジュアリーブランドが、こぞって採用するロロピアーナには、厳選した原毛だけを使う厳格な姿勢がしっかりと根づいているため、Gaboも絶大な信頼を置いています。ベーシックなキャメルのコートといえど、素材も仕立ても一切妥協しない姿勢が、こういうところにも表れています。
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 渡辺修身 / Hair&Make : Hiroki (W) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model :Joep.v (Exiles)