
2019.10.28
古き良き「ナポリ仕立て」が近代化の波に伴って減りつつあるなか、今も昔ながらの手仕事を多用しながら、現代的なシルエットを生み出すファクトリーがあります。それがカザルヌオーヴォのガボ。ナポリの有名テーラーが信頼する技術力を背景に、今季も個性的なコレクションを揃えています。
・ガボ / ウィンドウペン フランネル 3B スーツ
・マリア・サンタンジェロ / ピンポイントオックスフォード ワイドカラーシャツ
・タイユアタイ / ペイズリー プリント タイ
・シモノ ゴダール / チーフ
・フラテッリジャコメッティ / カーフタッセルスリッポン
ナポリの有名なサルトリアは市内にアトリエを開いていても、縫製の下請けを依頼するのは、近郊の街に住む腕の良い職人たちです。なかでもカザルヌオーヴォという街は、昔から腕の良い職人たちが集まっていて、小さな工房で何代にもわたりその技術を受け継いでいます。
ガボは、そんな小さな街の工房から誕生したサルトリアです。直系のジャンフランコは、有名ブランドの工房をいくつも渡り歩いてきた職人で、いとこのジュゼッペとともに祖父の第から受け継いできた工房を切り盛りしています。「生地の声が聞こえる」というジャンフランコは、生地を見てから仕立てる服を決めるといいます。そこには、IT化や効率化によって失われつつある、古き良き手仕事の「職人仕立て」が感じられます。
茶色のフランネル生地にウィンドウペンを載せた---いかにもナポリらしいスーツ。英国調の色柄ですが、ふわりと軽いフランネルにのせて一枚仕立てにしています。軽い着心地の秘密はハンド箇所を10ポイント以上も用いているから。もちろん袖付けは職人の手仕事ならではのマニカカミーチャ。やわらかな袖付けの仕様ですが、伝統的なナポリ仕立ての魅力を感じられるポイントでもあります。
広めのラペルと高いウエストがグラマラスなジャケットに、パンツはワンプリーツで膝下のテーパードも強めでモダンなシルエットです。コーディネートは茶色と相性の良いピンクのシャツと、ペイズリー柄プリントタイはセッテピエゲでスカーフ風に胸元に翻ります。華やかで色気あるVゾーンメイクは、お洒落上手なナポリ男らしさが全開です。
・ガボ / 三織混 チェック 3B ジャケット
・フェデーリ / クルーネック ニット
・ピーティーゼロウーノ / 1プリーツ ストレッチ ライトフランネル パンツ
・ブラン / チタン&セル サングラス
・フラテッリジャコメッティ / カーフスコッチグレインローファー
ブラウン&ブラックはモダンにブラウンを着こなすのにBRが推奨するカラーリングです。ここではブラウンジャケットに、ニットをブラックで合わせています。しかも素材はカシミヤ100%。パンツもブラックで統一することで、モダンな印象を引き立てます。
ジャケットのブラウンは遠目に単色ですが、近くで見るとボルドーやチャコールなど、数色の色糸が使われているので、深みある赤茶色をしています。ツイード風のルックスは、ウール、モヘア、カシミヤの三織混。織り感がありつつも、やわらかなソフトタッチ。この素材感が、ラグジュアリーに見えるポイントでもあります。
・ガボ / ウール&シルク ダイアゴナル 6B ジャケット
・グランサッソ / ミドルゲージ クルーネック ニット
・フェデーリ / ロングスリーブ クルーネック Tシャツ
・ベルウィッチ / サキソニー 2プリーツ サイドアジャスター パンツ
・シーキューピー / スウェード スリッポンタイプ スニーカー
ダブルのジャケットは雄々しいもワイドなピークドラペル。ポケットやラペルエッジに丸みがあり、しかも着心地がふわりと軽いので羽織るような着方もサマになります。そこでここではワイド風のテーパードパンツを合わせて、インにはニットと白Tをレイヤード。足元スリッポンという、このぐらいラフな着方もできるのは、ガボだからこそなんです。
ジャケットの素材はロロ・ピアーナのジランダー。ガボはカザルヌオーヴォの決して大きくはない工房ですが、ロロ・ピアーナからの信頼が厚く生地の揃いが良いファクトリーです。メリノウール×シルクのダイヤゴナル織り生地は、しなやかで軽量。適度なツヤ感ある目付け295gは、スリーシーズン対応です。
・ガボ / キャメル 3B コート
・ランベルト ロザーニ / リブ編み クルーネック ニット
・ブラン / チタンフレーム サングラス
・フラテッリジャコメッティ / カーフスコッチグレインローファー
今季はガボから、コートも展開されています。なかでもチェスターコート型の「シティ」はオン&オフ、フォーマルにも対応できる定番モデルで、ガボの自信作とのこと。膝丈の着丈はショート丈コートのビジネス感がないうえに、トレンドのロング丈ほど着こなしが難しくないのがちょうどいいシルエット。素材はロロ・ピアーナの「バクトリアン」。ベビーキャメル100%の、ふんわりと空気を纏う軽さです。
着方はあくまで羽織るように。そう、ジャケット代わりという着方がよいでしょう。ここでもニットの上から羽織っていますし、ボトムズはデニムというカジュアルスタイル。もちろんタイドアップしたスーツの上からもOKですが、気軽に羽織るコートとしてもシティは、カジュアルスタイルの時に力を発揮するのです。
このコートについて、以前ジュゼッペは「ビジネススーツにもデニムにも、フォーマルな席にも着ていけるデザインなので、とても便利。もし一着だけ買うとしたら、断然「シティ」をおすすめします」と語っていました。確かにガボのスーツ&ジャケットをお持ちの方なら、ぜひ一着持っておいて損のないコートだと思います。
この「シティ」のコートも語られたGaboのインタビューはこちらから
「トレンドに左右されない、カザルヌオーヴェーゼの魅力とは」
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 川田有二 (Riverta Inc.) / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Sasha (Bravo)