
2019.05.21
B.R.ONLINEでも大人気のシャツ「アヴィーノ」。初来日したオーナーのフランチェスコ・アヴィーノ氏も接客にあたったユナイテッドアローズでのオーダー会は大盛況。そこで、ユナイテッドアローズ・ディレクターの太田さんに、いまのアヴィーノ人気の秘密を伺いました。
ユナイテッド アローズ ソブリンハウス ブランドディレクター
太田 裕康 さん
学生時代からアルバイトとしてユナイテッドアローズに勤務。ソブリンハウスの立ち上げに参画し、バイヤー、店長などを歴任。2015年からはソブリンハウスのオリジナルブランドの企画や、インポートブランドの買い付けを行うなど、一般的なブランドディレクターの枠にとどまらない活動を務めている。
アヴィーノ オーナー
フランチェスコ・アヴィーノ さん
イタリアンスタイルやナポリ仕立てに対する情熱をお客さまに届けたいという想いから、2001年にシャツとスーツの仕立て業をスタート。その後、2005年にはシャツ専業に。これにより仕事の丁寧さやサービスの質がさらに向上し、イタリア国内外にその評判が広がる。そのモットーは「常に改善・成長に努めながら、ナポリの情熱が詰まったシャツを作り上げる」。
今回、ユナイテッドアローズではイタリアからアヴィーノのオーナー、フランチェスコさんを招いてオーダー会が開催されました。大盛況だったようですね。
ユナイテッドアローズのお客様の中でも、とくに良いものをご存知の方々がお越しいただきました。アヴィーノの知名度が浸透してきていることを実感しましたね。
ユナイテッドアローズでアヴィーノを扱い始めたのはいつ頃からですか。
正確には覚えてないのだけど、日本でアヴィーノを展開した最初のシーズンからです。当時はナポリのマリア・サンタンジェロや、ボローニャのフライといった高級シャツブランドを扱っていました。
それだけの有名ドコロが揃うなか、無名のアヴィーノは難しかったのでは。
新ブランドというだけではセールスに繋がらないので、プルオーバーやピンホールカラー、比翼仕立てなど、いろいろな型をお願いしてみたんです。
なるほどバリエーションで勝負、と。
そうしたらこれが、どれもすごく出来栄えがよかった。しかもフランチェスコは嫌な顔ひとつせずにこちらの要望を聞いてくれたんです。
人が良いですよね。
僕はフランチェスコと同い年。彼と意気投合したことも、私達の要求と真摯に向き合ってくれた理由かもしれませんし、結果として良い方向に向いたのかもしれません。確かなブランドをお客様に届けること、そうしてブランドを育てていくことも、私達セレクトショップの仕事ですので。
それからアヴィーノは、すぐにお客様に広まったんでしょうか。
リピーターが多かったのは確かですね。それも、それまで高級シャツを着てきた方が多かった。
着てみれば、その違いが一目瞭然ですからね。
シャツは一番自分の肌に近い服ですので、一度肌に合うものと出会うと、着続ける人が多いアイテムだと思います。私もいまではクロゼットの半分ぐらい、アヴィーノになってしまいましたから。
いまメンズファッション業界で、ドレスシャツは厳しいと言われています。それなのにアヴィーノは売れ続けているのはなぜだと思われますか。
まずスタッフがAVINOのシャツが大好きで、お客様にもオススメしてくれた。うちのスタッフも推してくれたし、雑誌でも、B.R.ONLINEでも紹介されていて、ここ2年くらいで認知が上がったのは間違いないですが、やはりこのシャツの着心地にあるのではないでしょうか。衿型も含めて、ビジネスマンのためのスタンダードで高品質なシャツであることは間違いありません。服には「社交性」と「社会性」の2つの側面があると思っているのですが、アヴィーノには明らかに社会性があります。
仕事をする社会人に必要な、信頼、誠実、知的といった要素を、すべて表現できるシャツだと思います。うちのお客様でも、若いIT企業の経営者がタイドアップするとき用のシャツとして買われていきますから。
いくら仕事に行くのにカットソーにジャケットのスタイルでOKなオフィスが増えても、タイドアップしたスーツスタイルって、絶対なくならないものだと思うんです。日本では許されてもドレスコードに厳しい海外では許されなかったり、普段はドレスコードに寛容なオフィスでも、タイドアップが必要なシーンは様々あります。グローバルなビジネスプロトコルに於いては、決して廃れないということ、だからこそ若い人に知っておいて欲しいという思いから、定期的に勉強会を開いたりしてスタッフと共有してるんです。
遊び心を加えながらも、グローバルで通用するビジネススタイルについて、実際ユナイテッドアローズのコーディネートを教えていただけませんか。
ユナイテッドアローズでご紹介するグローバル・スタンダードはネイビースーツやグレースーツが主体となります。遊び心を加えるとするならば、たとえばこちらのスーツをブラウンにして、イエローベージュのストライプシャツ、タイはプリントドットでもいいのではないでしょうか。
オーセンティックですが、Vゾーンをブラウンベースで遊びを加えることでこれまでとはひと味違ったコーディネートですね。若々しさがあります。
ブラウンというのは、今の時代を表すアイテムだと思います。スタンダードであるネイビー、グレーをブラウンに変えるだけで今風になる。ここまで遊び心を効かせるのであればシューズはスエードのスリッポンでもいいでしょう。
もうひとつはグレンプレイドのスーツに白シャツ。こちらも幾何学模様の黒ベースタイを。足元はちょっとヒトクセ、クロコのビットローファーを合わせています。
これはラグジュアリーな印象です。
もちろん役職や、業種によっては難しいところもあるかもしれないスタイルですが、これぐらいまで許されるオフィスは必ずあります。お洒落感度は高めですが、ビジネスマンとしてのきちんと感もありますし、モノトーンならではの清涼感も備わったスタイリングです。
もちろんここに黒カーフのビットローファーでも良いわけですよね。
もちろんです。正装を知った上でクロコのビットローファーを履くのと、正装を知らずに履くのとでは意味が違うように、靴以外の合わせ方はインターナショナルに通じるビジネススタイルです。足元だけ遊びを利かせているのは、着る人のキャラクターにもよると思います。
同じビジネススタイルでも、それぞれ方向性が違いますね、何か狙いがあるんですか。
じつはこの2つのスタイルはユナイテッドアローズとソブリンハウス、それぞれの打ち出しを具現化したものです。だからこそ自信を持ってビジネスマンにおすすめできるのです。
世界のスタンダードを意識しながら、ドレススタイルを楽しむ。今の時代に必要な要素をたくさんお聞きできました。ありがとうございました!
最後に今回、初来日を果たしたアヴィーノに感想をお聞きしました。
素晴らしい体験でした。お会いできた方やユナイテッド アローズにいらっしゃるお客様やスタッフは、思っていた通りエレガントな着こなしをしている人が多く、シャツの色使いも白ばかりでなく、カラフルなものが多かった。話をする機会もあったが、着心地が重要視されていると感じたよ。これからのシャツ作りにとてもいいモチベーションをもらったのは間違いないね。
ユナイテッドアローズ
https://www.united-arrows.co.jp/
ユナイテッドアローズ ザ ソブリンハウス
https://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/storelocator/svh.html
Producer : 大和一彦 / Photographer : 角屋貴久 (B.R.ONLINE編集部) / Editor : 池田保行 (ゼロヨン)