
2019.10.16
ジャケットの定番色はネイビーと相場が決まっていて、グレーはどこか老練した印象に思われがち。しかしながらグレーは無彩色ゆえに合わせる色を選ばず、着こなしの幅が広いので、シックな着方からカジュアルな着方、ときにモダンに、ときにクラシックにと、様々なスタイリングが楽しめる万能色なんです。そんな着方をguji&ringで見つけてきました。
・スティレ ラティーノ / ダブル6Bジャケット
・ドルモア / タートルネックニット
・ピーティーゼロウーノ / 1プリーツ パンツ
たとえばここでは赤いタートルニットを合わせてみました。赤いアイテムはアウターなどで大胆に着るのは少々インパクトが強すぎるのですが、ジャケットのインに着るような分量を小さく見せる着方なら差し色として効果的です。グレーでしっかり抑制しながら赤が持つ快活で情熱的な一面をさりげなく着こなしでアピールするカラーリングは、様々なシーンで自分を表現するのに便利ではないでしょうか。
こちらはringが得意とするスティレ ラティーノ。ワイドラベルのダブルジャケットは最上級のテーラードスタイルですが、きっちりボタンを留めるより前開きして羽織るような着方が今風です。赤タートルを活かすため、その他のアイテムをモノトーンで統一するのもポイント。チャコールグレーのスラックス、そして黒スエードのブーツ。どれも主張しないアイテムですが素材の良さで脇役を固めながら、ニットのワンポイトカラーを引き立てるのは見事な布陣と言えるでしょう。
・アルフォンソ シリカ / シングル3Bジャケット
・ジョンスメドレー / クルーネック ニット
・スパッカ ネアポリス / プリント スカーフ
・ピーティーゼロウーノ / 1プリーツ パンツ
こちらはパンツで色を足すコーディネート。「色を足す」といっても派手色ではなくキャメルカラーのパンツを合わせているので、それほど難しくはないですね。ここでポイントはチノパンなどのベージュ系コットンではなく、ウールのキャメルカラーということ。すこし黄味の強い色目は、ネイビージャケットだと喧嘩してしまうことがあるのですが、グレージャケットならカジュアルに収まります。こちらのジャケットは、ringのアルフォンソ シリカ。FOX BROTHERS社のヘビーウエイトのヘリンボーンですが、ラムズウールで柔らかく、フルハンドで仕立てられるアルフォンソ シリカの技術も相まって着用時の重みは感じさせません。
ジャケットのインもあえて色を使わず、黒のクルーネックニットで締めておきます。衿元にスカーフを挿すのも大人っぽいアクセントですね。キャメルカラーを攻略するのにはモノトーンをあわせるのが鉄板なのです。白のニットやシャツでも合わせやすいと思いますが、あえて黒を使うのはブラウン×ブラック、ブルー×ブラックと同様都会的なクラシックの要でもあります。キャメル×モノトーン、キャメル×ブラックも定番カラーリングとして覚えておきたいテクニックです。
・リングヂャケット / 3Bジャケット
・ランベルト ロザーニ / タートルネックニット
・ジャンネット / セミワイドカラーシャツ
・インコテックス / 1プリーツテーパードパンツ
ここからはgujiによるグレージャケットの着こなしを。guji別注リングヂャケットで完璧なモノトーンを狙うならグレージャケットに白のタートルニットを。衿元から白シャツの衿羽根を覗かせるのも、イタリア流のテクニックですね。このときシャツの裾を覗かせるのも、着こなしのアクセント。モノトーンのストイックな雰囲気を、ラフに遊ぶという抜きのポイントになるのです。
ここで着たグレージャケットは単色のウーステッドではなくホームスパンツイードというところもご注目いただきたいところ。グレー系のツイードジャケットはヨーロッパの男性には定番アイテムですが、日本人の黄色い肌には「老け見えしそう」と敬遠されがちでもあります。白ニット、黒パンツでメリハリを付けて着こなせば、ぐっとモダンな印象に仕上がりますので、グレーツイードを恐れずに、ぜひトライしていただきたいですね。
・バルバ / 3Bジャケット
・クルチアーニ / クルーネックニット
・インコテックス / 1プリーツテーパードパンツ
グレージャケットの特徴として最後に触れておきたいのは素材の良さが引き立つということ。グレーという色(本当はグレーは無彩色なので「色」とは呼ばないのですが…)は、毛足の具合がわかりやすく上質な素材ほど美しく映えるものです。逆に安価なコットンのグレーなどは、安っぽさが立ってしまって、ちょっと印象もシャビーです。
バルバのジャケットは、カシミヤでグレーが品格あるのも、フォーマルグレーがノーブルに映るのも素材の良さが合ってこそ。こちらのジャケットもヘアリーなカシミヤ素材にラグジュアリーなエレガンスが薫ります。ここではあえてインはオフホワイトのクルーネックニット、パンツは黒スラと控えめな脇役を用意することで、カシミヤのジャケットの質感を強調してみました。
以上、この秋、上質なグレーを纏うためのコーディネート例ですが、あくまでジャケットの素材に上質が立ってこそのものであることは言うまでもありません。先程も少し触れましたが、欧米ではグレーはフォーマルカラーとして、高貴かつ静謐な色とされています。控えめにも思われますが、知的で秩序的な大人の色としてのグレーを上手に着こなせれば、男としての格も上がるはずですのでぜひとも取り入れてみてください。