
2017.10.30
クラシック好きならBelvestを避けて通れません。1964年創業以来、さまざまな高級メゾンのスーツを仕立てるファクトリーとしてその名を轟かせ、自社ブランドのシグニチャーはクラシコイタリア協会にも加盟する名門と誰もが認めるところであります。「ハンドに匹敵するマシンメイド」と言われる所以は、量産メーカーにも関わらず、そのソフトなコンストラクションにあります。スフォデラートと呼ばれるアンコン仕立てを得意としてきたこともあり、じつはいま主流のジャケットの本筋はこのブランドが築いてきたスタイルといっても過言ではありません。「芯地がやわらかいので箱に入れても型くずれしませんよ」という意味で付けられた、ジャケットインザ・ボックスもこのブランドの名作です。お聞き及びあるかと。
前口上が長くなりましたが、そんなBelvestがいまもっとも力を入れているのが、カプセルコレクションです。一般的に“カプセルコレクション”とは、シーズン中期に期間や点数を限定して展開するスペシャルコレクションだったりするのですが、Belvestでは昨年から自社の70年代のアーカイブをベースに現代的なアレンジを加えたカプセルコレクションを展開しています。これまで培ってきた技術力を惜しみなく使いながら、若々しくモダンなうえ、これまでクラシックで弱かった「グラマラス」というキーワードを実に巧みに表現しています。最近流行りのハーフキャンバスではなく、フロントまで毛芯を使ったフルキャンバスで、この軽い着心地を出せるのはBelvestならでは。セレクトショップのgujiでも大注目していて、ラインナップも豊富なんです。まずはこちらのスーツを御覧ください。
ネイビーフランネルのスーツは、イタリア人も大好きな70年代テイストのチョークストライプ。深い紺色に素材の良さがひと目でわかる艶やかな光沢が浮き上がります。雄々しいワイドラペルはクラシックでありながら、男の色気を大胆にアピール。ウェスト位置も高く、キュッと絞られていて、人によってはいつもよりワンサイズ上でもフィットするほどです。パンツもこれまでのスタイルに比べては細身で現代的なシルエットを描いています。タブカラーのシャツで襟もとを絞ると、まさにいまどきなクラシックスタイルの完成です。
こちらはキャメルカラーとなって、ぐっとカジュアルなルックスですが、ウール生地ですので近目では生地は艶やかさが一目瞭然です。やはり、コットンベージュのスーツとはひと味違いますね。ポケットはチェンジポケット付きで、少しスラントしています。上掲のネイビーストライプのスーツも同様ですが、トレンドのブリティシュ気分をこんなふうに表現しているんですね。フラップ幅が太いのはワイドなラペルと合わせて計算されているがゆえ。メリハリの効いたディテールを備えたスーツは、スーツに詳しくない人から見ても「なんだかお洒落なスーツだなぁ」と思われることでしょう。ここではラウンドカラーのオックスフォードシャツの衿もとを、キュッと絞ってタイドアップ。仕事着、遊び着、パーティウェアに、それこそ普段着感覚で着ていただきたい、さりげなくラグジュアリーなスーツですよね。
そしてこちらはダブルのスーツ。ブラウン・グレーのシャドーグレンチェックは、英国紳士が好みそうな色柄ですが、スタイルは4ボタンのコンパクトなダブルブレストで、昔のダブルと違って着丈も短く、コンパクトでモダンなフォルムです。カプセルコレクションならではのワイドなラペルと絞り込んだウェストのコントラストは、どこかモードの薫りすら漂わせて、こんなふうにタートルニットと合わせた“ドルチェビータスタイル(※ドルチェビータとはイタリア語でタートルネックのこと)”も似合います。
確かな仕立てと軽やかな着心地で、ビジネスに限らないスーツとして幅広く着こなせ、しかもクラシックブランドとしてのステータスもある。そんなBelvestのカプセルコレクションは水色タグが目印です。