
2019.03.18
「ベルジャンシューズ」をご存知でしょうか。ベルギーのシューメーカーが作っていた、ルームシューズを原型とする靴で、もともとはブランド名だったのが一般化したものです。このベルジャンシューズ、少し前にファッション業界人の間で大流行。スマートなフォルムのスリッポンゆえスーツのハズしに合わせたり、デニムに素足で履いたりと応用が利くうえ、大人っぽくキマるとあって注目されていました。
・ボードイン アンド ランジ / ベルジャンシューズ
・アイモネ / ブルゾン
・991 / クルーネックニット
・セラードアー / シャーリングパンツ
ベルジャンシューズに特化した英国のシューズブランドが話題です。ロンドンの「ボードイン アンド ランジ」がそれ。フランス人のアラン・ボードインと、元カーレーサーという異色の経歴を持つボー・ヴァン・ラングベルトの2人が「グッドイヤーウェルトの履き心地を備えた、いままでにないベルジャンシューズを」というコンセプトのもとで2017年にブランドを設立。4層からなるオリジナルのミッドソールを開発し、アンラインドで軽い履き心地のシューズは「世界一美しいベルジャンシューズ」との呼び声も高く、わずか2年足らずで世界中から注目を集めるようになりました。
2人の出会いはともにビスポークシューズ好きというところから始まっているだけに、このベルジャンシューズもビスポーク靴の要素が多分に取り入れられています。たとえばヴァンプはモカ縫いではなくパイピングで伏せられていたり、ヒールカットがテーパードしているなど、高級なビスポークシューズによく見られる技術を応用していたり、ヒールカウンターの飾り釘もオーダー靴に精通している印象です。
こんなふうにクリース入りのスラックスと合わせて素足履きしても、大人っぽくこなせるうえ、カジュアルにもドレスにも似合うのでトップスがブルゾンというコーデにも対応します。これまでローファーやドラシューなどのスリッポン系を愛用していた方なら、すぐにでも履いてみたくなるはず。そして一度足を通せば、その心地よさにすぐハマってしまうかもしれません。
パイピングで伏せられたヴァンプに、タッセルを飾ったベルジャンシューズ。アンラインドでやわらかな履き心地です。曲線を描くようにフィットするヒールカップと、テーパードするヒールカウンターの具合いは見ておわかりになるかと思います。トゥもシャープで甲も低めですが、やわらかなゴートスエードを採用しているので足馴染みも良好なのです。
・ボードイン アンド ランジ / ベルジャンシューズ
・ノルウィージャンレイン / フーデッドコート
・グランサッソ /クルーネックニット
・ナンバーエム / 1プリーツパンツ
こちらはフーデッドコートに進化系パンツをあわせた今風コーデ。こちらも足元はベルジャンシューズで違和感なく合わせられます。レースアップシューズでは硬すぎるし、スニーカーだと子供っぽいかなと思われるときなど、足元に悩んだときもベルジャンシューズなら意外とすんなりハマるんです。ヒール付きのスマートなラストに、スエードの落ち着いた風合い、そしてやわらかな履き心地はドレス&カジュアルの枠組みを超えた靴と言って良いかもしれません。
こちらはディアナッパにヴァンプをゴートスエードで切り替えたモデル。ディア=鹿ならではのシボ感あるナッパレザーは、ほどよいカジュアル感とドレス感の中間をいく味わいがあり、素材選びでも服を選ばないことがわかります。タッセルなどつかないミニマルなデザインですが、それだけにフォルムの美しさが際立っていることがおわかりいただけるかと。
・ボードイン アンド ランジ / ベルジャンシューズ
・ベルベスト / スーツ
・クルチアーニ / クルーネックニット
・キンロック / スカーフ
スーツを着くずすのにもベルジャンシューズは有効です。こちらのスーツ、クルーネックのニットにスカーフをあしらって、大人流の着流しスタイル。足元がベルジャンシューズならリッチな大人の余裕を見せるくずし方に仕上がります。ヒールもついているので、細身ラストのスエードスリッポンとしてスタイリッシュですし、いわゆる黒や茶のカーフとはひと味違う素材選びがお洒落な足元を演出するのにも有効です。そしてこのように明るいブルーのスーツの場合、普通の色合いの黒や茶のスリッポンだとちょっと重いことがありますが、こんな明るいカラーなら軽快さもワンランク上。しかもこのシューズ、ヴァンプのレザーもひとヒネリされていました。
ヴァンプはアリゲーターに切り替えられていて、よりリッチな印象です。しかもこのアリゲーター、ボックスカーフが有名なフランスのデュ・プイ社のもの。だから、これだけ腑の揃った美しい革が使えているんです。ゴートスエードとの色合わせもじつによく吟味されており、パイピングのダークブラウンも引き締め役に。スリッポンで、このぐらいのトーンの茶色って、なかなか無い色出しです。このあたりのセレクトの上手さも、ビスポーク靴に精通するボードイン アンド ランジならではなのでしょう。
ボードイン アンド ランジのベルジャンシューズは、春の足元としてはもちろん、これからの季節に相応しい大人カジュアル靴の最有力候補。しかもカラーバリエーションの豊富さも注目どころで、上掲の真っ白バージョンはセレクトショップgujiの別注モデルです。そしてgujiでは、さらにバリエーションを揃えた上で、自分好みの革を選ぶこともできるオーダー会を予定しています。東京店では3月21日~4月2日。お見逃しなく!
詳細はこちらから
https://www.bronline.jp/news/?entry=10259
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 鈴木泰之 / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Timothee Bertoni (Donna)