
2025.06.26
「大人の夏は、シャツで差がつく」という戸賀さんが選んだのは、マリア・サンタンジェロのリネン。涼やかで上品で、仕立ての良さが滲むコレクションは、襟型や着丈などの細部までこだわったBRスペシャルオーダーでした。一枚で着たときの透け対策も万全な、大人が安心して一枚で着られる、夏の大人の救世主的なシャツがここにあります。
▲ マリア・サンタンジェロ / 前身二重仕立て リネン ワンピースカラー シャツ ¥66,000
▲ インコテックス / CHINOLINO ノープリーツ パンツ ¥61,050
「夏はTシャツよりニット」で知られる戸賀さんですが、じつはシャツにも強いこだわりをお持ちなのは、長くファッション誌の編集長を務められてきたからこそ。最近ご自身のSNSでも、シャツとパンツのセットアップ姿をご披露されています。
今回、チェックしたのは、ナポリの老舗シャツブランド「マリア・サンタンジェロ」から、台襟のないワンピースカラーシャツ。襟羽根が前立てと一枚でつながっているため、ボタンを開けたとき自然なロールが首元に立体感を生みだします。首回りに柔らかく沿いながら、大人のリラックスと品格を両立できる一着なのです。
「仕立ての良いシャツは、襟のロールが圧倒的に美しい。だからこそこだわりたいところ。マリア・サンタンジェロのシャツは、襟羽根に使う芯地のやわらかさに定評があるんだ。ノータイで着たときに、その美しさが際立つんだよね。」
涼しげながら凛とした表情を醸すマリア・サンタンジェロのワンピースカラー「マルチェッロ」。しかも、BRのリクエストで通常より着丈を2cm短くモディファイされています。これによって裾をタックアウトして着たときに、バランスよく見えるんです。
「シャツの裾を出して着るのって、オトナ世代は抵抗があるって人も少なくないんじゃないかな。でもこのシャツは着丈が絶妙。だらしなく見えないのは、ハワイアンシャツのようにカジュアルな短丈バランスを思わせるから。それでいて上品見えするって、大人のシャツの要件を満たしてるよね。」
さらにこちらは前身頃をニ重仕立てにすることで、透け感を抑える工夫が施されています。このディテールは、フォーマルシャツやオーダーシャツに見られる上級仕様。ナポリの職人技が息づく逸品です。ワンピースカラー「マルチェッロ」の他にワイドカラー「マルコ」でも二重仕立てがラインナップされています。
「リネンって透け感が魅力だけど、年齢的に胸のポッチとか気になるよね。これならアンダーウェアなしでも着られるので、大人のマナーとしても完璧。エレガントに透け感をコントロールしてるって感じだね。」
▲ マリア・サンタンジェロ / リネン ワンピースカラー シャツ ¥41,800
▲ ピーティートリノデニム / BR別注 ホワイトデニム パンツ ¥42,900
▲ アンドレア グレコ / ゴールドバックル ドレスベルト ¥24,200
戸賀さんが最近シャツを着たいと思うのは、ゴルフの行き帰りなのだとか。名門ゴルフ場のクラブハウスではもちろんですが、都内にもどってそのまま仕事があるときなど、シャツが最適なのだそうです。
「ゴルフ終わりにシャワーを浴びて、都内に戻って打ち合わせ。夏場だからといっても、ゴルフまんまの軽装すぎは、やっぱりナシだよね。せめて襟付きを着るべき。でも、いかにもゴルフ帰りですってポロシャツ姿はちょっとね。」
そんなときこそシャツの裾をタックインしたスタイルなら、ゴルフ帰りと思えないほど端正な夏のビジネススタイルでいられるとは、なるほど実用的。しかもリネンなら、夏のカジュアル感と、ほどよい品格が共存するので、まさかゴルフ帰りとは思われないのでしょう。
「最近はシャツが着たい気分なのは、クルーネックのニットやカットソー1枚でいいやっていう気分が抜けてきたからっていうこともあるかな。ちょっときちんと着こなしたい、って気持ちが出てきたんだよね。大人の夏にポロシャツでは出せないニュアンスを、1枚のシャツでスマートに着るのは大人の嗜みだよね。」
▲ マリア・サンタンジェロ / リネン ワンピースカラー シャツ ¥41,800
( ブラック/グレー/ブラウン )
( ネイビー/サックス/ライトブルー )
( ホワイト/ラベンダー )
マリア・サンタンジェロのリネンシャツは全8色。定番のホワイトは夏のフォーマルシーンにも映えますし、ブラックやグレー、ブラウンはオフィスにも似合いそう。さらに、ネイビー、サックス、ラベンダーといったカラーリネンならリゾートにも似合うなど、行き先で選べるリネンシャツとなっています。白系のシャツには白蝶貝、ダークカラーには黒蝶貝など、生地色に合わせてボタンの色も変えているのも芸が細かいところです。
ボディはB.R.SHOP別注の「SUPER SLIM FIT」よりもゆとりある「SLIM FIT」。リネンの落ち感を自然に活かせるフィッティングとなっています。背ヨークに控えめなギャザーを入れ、後ろ姿に柔らかな表情があり、クラシックな雰囲気もほんのり薫ります。
ブランドタグに「2+2」と示されるこのシリーズは、袖付け、ボタン付け、サイドガゼット、剣ボロのカンヌキ留め、4ヶ所を手縫いで仕立てていることを示しています。ナポリの老舗カミチェリアならではの矜持が滲むポイントです。
▲ マリア・サンタンジェロ / リネン オープンカラー シャツ ¥41,800
▲ ベルウィッチ / リネン&コットン 1プリーツ リラックスショートパンツ ¥39,600
▲ シーキューピー / スウェード スリッポンタイプ スニーカー ¥55,000
もうひとつ、戸賀さんがおすすめしたいというのはオープンカラーシャツ。
「オープンカラーはイタリア人が好んで着るシャツ。やっぱり見た目も着心地も涼しいし、戸賀の夏の定番、ショーツスタイルに合わせやすいところがいい。それでいてオフ感が出すぎないところは、マリア・サンタンジェロらしいところだね。」
こちらの襟型「フィジー」は、日本でいう開襟シャツですが、ルーツは士官服の襟型。台襟がないのに襟羽根には適度な張りと返りが見られ仕立て映えもみられ、リラックス感の中にもきちんとした印象を残しています。
「ハワイアンっぽいオープンカラーは日本だとリゾート限定という印象だけど、仕立ての良さが後押ししてくれるから、これは都会が似合うオープンカラーになってる。」
ボディはややゆとりのあるフィッティングで、裾はスクエアカット+サイドスリット入り。タックインでもアウトでもきれいに着られる絶妙な着丈です。上質なリネン100%のやわらかなタッチと軽やかな風合いは夏の空気とよくなじみます。戸賀さんが言うように、見た目にも涼やかなオープンカラーのリネンシャツは、周りに気を遣える大人ならではの選択ですね。
▲ マリア・サンタンジェロ / リネン オープンカラー シャツ ¥41,800
( ホワイト/ラベンダー ) ( ブラック/ネイビー )
「やっぱりシャツは大人の基本服。シャツにしか出せない清潔感は、夏場の大人に必要な要素だよね。襟元の立体感はもちろんタックインもアウトも、すべてに仕立ての良さが滲むマリア・サンタンジェロなら、着た瞬間に違いがわかるんじゃないかな。」
上質な天然素材と確かな仕立て。4つのハンド工程が見えない部分で着心地とシルエットに差をつけてくれるオープンカラーのリネンシャツ。涼しさと快適さを求めつつ、だらしなく見えないバランス感覚に優れるコレクションです。大人が自信を持って着られることを前提に考えられているので、実用性とエレガンスが両立。一枚で着るだけで、夏のスタイルを見た目も気分も盛り上げてくれるはずです。
Photo : 鈴木泰之 / Text : 池田保行 (ゼロヨン) / Design : 中野慎一郎 / Produce : 大和一彦