
2018.07.11
▲ナノ・ライブラリー / リネン セットアップジャケット
▲ナノ・ユニバース / リネン セットアップパンツ
▲フレッドペリー / ラグランスリーブ ニットポロシャツ
以前B.R.ONLINEでご紹介したナノ・ユニバースの、ヘリンボーンコットン・セットアップスーツは、大人が着られるフィッティングに改良されたことで大変好評を得ました。このスーツをディレクションしたのが、B.R.ONLINEのスーパーバイザーであり、ナノ・ユニバース メンズディレクターでもある戸賀敬城さんです。それまで細身のフィッティングだったオリジナルのスーツに時代の流れを取り込み、前モデルから少しだけリラックスしたサイズスペックに修正したことで、新たなファンも増え、幅広い年齢層から支持されています。
もちろんご自身も愛用中。自信作と言うだけあって、仕事に遊びに、さまざまなシーンで着ていらっしゃいます。この日は、これから気の置けない友人たちと会食というところをキャッチしました。するとあのセットアップスーツが、なんとウール×リネンの夏素材になっているではありませんか! さらっとドライなタッチはもちろん、ウールとは一味違う清涼感ある発色のネイビーは、例年より早く明けた梅雨を予想したかのように清々しい気分を漂わせます。
「今日はカジュアルな席ですが、集まる人のなかには初対面の人がいるかもしれないので、ラフ過ぎるのはいかがなものかと。かといって気心知れた仲間もいるので、インはフレッドペリーのポロシャツ。これも僕が別注したモデルです。もうすこしドレスアップするときは、リネンのシャツを着たいと思います。今日みたいにタイドアップするまでもないけれど、ある程度きちんとした服装が必要という席は意外と少なくありません。むしろ大人になるほど人を紹介したり紹介されたり、一年を通してそういうシーンが増えてきます。そんなときのために気軽なスーツも何着か用意しておいたほうがいいですから」。
この日の昼間、戸賀さんはクラシックなヒルトンのスーツでお仕事へ出掛けられたそうですが、夜の会食に合わせて、一度家に戻って着替えてきたのだとか。シーンはもちろん、お会いする人に合わせて服装をきちんと選び整えられるのが“できるオトコ”たる所以。さらに季節にまで合わせた服選びができるのは、さすが一流のオトコです。夏の汗ばむ季節に、さりげなくリネンの涼感をお裾分けというわけです。
「冬はカシミヤ、夏はリネン、どちらも色気ある男のスタイルに必要な素材です。僕が手がけてきた雑誌でも毎年のシーズン企画で取り上げてきました。とくにリネンのスーツは、夏らしく見た目が爽やかなうえに着心地もさらりとしていて、僕も大好きです。これまで何着も着まくってきましたから。でもクラシック過ぎる仕立てだとオヤジというよりおじいさんっぽいし、リネン100%素材だとシワが多すぎてなんだか着づらいと思う人もいるかと。そこでナノ・ユニバースではリネンとウールをブレンドした素材を採用しています。ウールの柔らかさをベースにしながら、リネンのドライなタッチを加えているので着心地も爽やかで、比較的シワの入り方もゆるいんです。しかもシルエットは、前回のコットンスーツと同じく大人向けのフィッティング。今日みたいなポロシャツと合わせてもいいし、Tシャツだって良いでしょう。リネンのシャツをタイドアップして着てもいいんじゃないでしょうか」。
リネン好きの戸賀さん渾身のスーツは、もっと気軽にリネンを着てほしいという想いの結晶です。自由な着方で構わないというのも、ハードルを下げてくれるポイントですね。でも戸賀さん、本当にリネンの魅力を理解できるようになったのは、じつは最近のことだと、こっそり話してくれました。
「駆け出しの頃、自動車評論家・徳大寺有恒先生の撮影に立ち会ったことがあります。ウェルドレッサーで名高い先生が着ていらしたリネンのスーツがちょっとシワっぽかったので、スチーマーでシワを伸ばそうとしたら怒られたことを覚えています。男のリネンはシワが入っているぐらいが格好いいんだ、ってね。そのときは、そんなものかと思ったのですが、年を重ねるにつれて、その意味がわかってきたような気がします。シワを気にして立ち居振る舞いが不自然になったり、リネンの扱いに神経質になりすぎてはスーツそのものを楽しめないし、なによりその場を楽しめないのでは本末転倒。服は周りの人を楽しませて、自分自身もその場を楽しむためにあるんですから。多少のシワも楽しんでしまうぐらいの豪快さ、懐の深さが男には必要なのではないかと思うんです。まだ徳大寺先生の域には及ばないけど、僕も少しずつわかっていければと思っているんです」。
戸賀 敬城 さん
1967年、東京生まれ。編集者。ハースト メンズ メディア ブランド アンバサダー。その他、多くのメディアや、ファッション、車、時計、ビューティー用品など、様々な有名ブランドのディレクターやアンバサダーを兼任している。
学生時代からBegin編集部(世界文化社)でアルバイト、大学卒業後にそのまま配属となる。1994年Men’s Ex(世界文化社)の創刊スタッフ、2002年Men’s Ex編集長に。2005年時計Begin(世界文化社)編集長、及びメルセデスマガジン編集長兼任。2006年UOMO(集英社)エディトリアル・ディレクター就任。10代目MEN'S CLUB編集長。エスクァイアBBB日本創刊編集長。レクサスマガジン「ビヨンド」元編集長(ハースト婦人画報社)
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